補題 1.1.9 ツォルンの補題 12項

 A,B,C,......:1つの集合

  • 主張

 空でない帰納的半順序集合は極大元を有する.

(証明の方針)

①  A≠\varnothing i.e.  a∈A 1つの元

②  A:帰納的半順序集合 1つの集合

③  〈A, <  〉:半順序集合

④  ∀C⊆A:鎖 i.e.  ∀x,y∈C[x <  y→y <  x]

⑤  C≠\varnothing i.e.  a∈C 1つの元

⑥  \sup C i.e.  C:=\{x|∀x∈C[x≤a]\}   \sup C:=\min C

とする.このとき Aが極大元すなわち

 a∈C

 ∀x∈C[a\nless x]

となるような aをもつことを示す.そのために,反射的閉包及び非反射的閉包を考える.

  • 閉包

 R_=(x,y):⇔R(x,y)→x=y

 R_≠(x,y):⇔R(x,y)←→x≠y

  • 関係

 R_≤(x,y):⇔x≤y→x=y

 R_≨(x,y):⇔x <  y←→x≠y

 このとき, ∀x∈C[a\nless x]に対して x <  y←→x≠yより

 x\nless y←→¬(x≠y) i.e.  x=y

であるから

 ∀x∈C[x=a]

を示せばよい.条件より, \sup Cが存在するので ∀x∈C[x≤a]について,反射的閉包の性質から

 x≤a→x=a

を得る.したがって, Aは極大元をもつ.