新井敏康『数学基礎論(増補版)』 東京大学出版会 2021 

定義 1.3.1 構造 21項

定義 1.3.1 構造 構造とは,対である.但し はの各記号に次のようなを対応させる写像である: 1. -変数関係記号に対し,は上の-項関係,すなわちである. 2. -変数関数記号に対しは上の-項関数すなわちである. 3. とくに定数に対し,はの元である. は通常…

補題 1.1.9 ツォルンの補題 12項

主張 空でない帰納的半順序集合は極大元を有する. (証明の方針) ① i.e. 1つの元 ② 1つの集合 ③ < :半順序集合 ④ i.e. < < ⑤ i.e. 1つの元 ⑥ i.e. とする.このときが極大元すなわち となるようなをもつことを示す.そのために,反射的閉包及び非反射的閉包…

命題 1.1.5 9項

1. 関係が反射的である,とする.このときである. (証明の方針) は反射的であるのでである.すなわち.したがって,反射的関係を得る. 2. 関係が非反射的である,とする.このときである. (証明の方針) との定義をそのまま用いればよい.は非反射的である…

カントールの対関数が全単射であること

とする.このとき が全単射であること を示す. (証明の方針) 関数のかたち とする. ① が全射であること ② が単射であること ①について を示したい.そのために を示せば十分である.また,関数のかたちに注視すると でありは加法で閉じているから と書ける…

命題 1.1.3 カントールの対関数 6項

とする.このときの逆関数 は自由変数 は ① で与えられる. ①について 何のか? との何れか大きい方. 例 のとき とより

補題 1.1.1 6項

補題 1.1.1 可算集合の有限列全体も可算である. (証明の方針) まず,可算集合としてを考える.このとき次のような関数が ① 全射 あるいは ② 単射 であることを示す.但し 関数について からへの関数 :1つの集合族(で添字付けられた列) に対して からへの関…

順序対の性質 4項

とする.このとき順序対は次の性質をもつ. (証明の方針) まず,を仮定する.次に (ⅰ) (ⅱ) を示す. (ⅰ)について をいう. 1 (1) 前提 2 (2) 仮定 ☆ ☆ 仮定よりは存在するので(2)の仮定は許される. 1 (3) 1-2. →-導入 (ⅱ)も同様である. 以上より順序対の性…

1.1 集合の内包的表記について 3項

とする.このとき外延性公理よりは一意に定まる. (証明の方針) 外延性公理 i.e. 部分集合の表記 とする.このとき である. (1) (2) をいう. (1)について が1番目である,と仮定し1番目は2個すなわちとする.しかし,外延性公理より が成立するので,1番目…